5月5日、阿賀野市にある神田酪農さんを訪ね、スタッフ向けの牧場見学会を開催しました

阿賀野市安田地区は新潟県酪農発祥の地です
この地域は風が強く、農作地としては適さないことから酪農が始まったそうです

牛たちがどんなふうに暮らしているのか、酪農家さんがどんな思いで毎日お世話をしているのか
普段なかなか見ることのできない酪農の現場から、感じたことをお届けします

■ 牛にやさしい工夫と労りがたくさん

神田酪農さんは創業から100年続く歴史の長い牧場です
ここでは、牛たちがストレスなく暮らせる環境づくりに取り組んでいます

代表の神田豊広さんは、牛ファーストで取り組まれています
「もっと牛乳の価値を高めたい」と優しい口調ながら、熱い想いを語ってくれました


ここの牛たちは一頭ずつ名前が付けられていて
畜舎の入り口に牛たちの名前がずらりと貼り出されていました

牛舎には出産準備中の牛もいれば、中には北海道へ出張中の牛たちも!

8か月になると北海道の牧場へ出張し
放牧場で足腰を鍛え、こちらに里帰りして出産するそうです




神田酪農さんでは「つなぎ飼育」という飼い方を採用しています

これは、牛を一定の場所につないだ状態で飼育する方式で
日本の多くの酪農現場で取り入れられています

一見すると「自由がないのでは?」というイメージを持たれがちですが、必ずしもそうとは限りません

牛は同じ環境で同じ習慣を繰り返すことを好む動物

つなぎ飼育だからこそ、一頭一頭の個体に目を配りやすく、細やかなケアが可能になります
野生動物からの被害や足の怪我を防ぐ効果もあります

牛舎は風通しがよく、床はふかふかの敷料で清潔に保たれ、
牛たちの顔はみんな穏やかで、身体は清潔に保たれ、ゆったりとリラックスして過ごしていました

子牛たちも、お母さん牛もみんな私たちに人懐こく、優しく接してくれます
牧場の皆さんが、普段から愛情を持って接しているからこその信頼関係です

中にはウトウトお昼寝していたり、反芻という口をモグモグしている牛も
これって実は、牛が安心して過ごしている証拠なんです






新潟の夏は暑く、牛舎の中は40度程なることもあります
牛たちにとっても過酷な環境です

ここでは暑熱対策として、地下から汲み上げる冷たい水のシャワーで牛の身体を冷やす設備が導入され
牛舎から風で熱を逃がす工夫もされていました

お母さん牛は全身の毛を短く刈ってもらい、身体の熱を放出しやすくしてもらいます

酪農は「365日休みなし」のお仕事
それでも、「牛が気持ちよく過ごせることが一番大事」と話してくださった神田さんの言葉が印象的でした






■地産地消とおいしい牛乳へのこだわり

昨今のインフレの影響は酪農家さんも苦しめています

輸入飼料(トウモロコシ・大豆など)の価格やエネルギー・資材費も高騰し、経営を圧迫しています
一方で生産コストは上がっているのに、販売価格(乳価)は上がっていません

神田酪農さんでは牛の堆肥を活用した自家栽培の牧草や県内で取れた稲わらでサイレージを作り
輸入飼料を減らしながら地産地消、循環型農業とコスト削減に取り組んでいます

牛の飲み水には天然鉱石を使ったミネラルウォーターを使い
牛たちの健康と共に、牛乳のおいしさへのこだわりを感じました


見学のあとは、牧場に併設された直売ショップ「みるぱす」へ

ここでは神田酪農さんで搾られた新鮮な牛乳やジェラートやソフトクリームなどが購入できます


自社ブランド「やすだ愛情牛乳」は神田酪農の生乳100%
さっぱりとしながらやさしい甘さに思わずにっこりしてしまいます

「やすだ愛情牛乳」は神田酪農隣接のショップみるぱすの他、道の駅あがの、横越PLANT、ピア万代などでも購入可能です




■新潟県産牛乳を選ぶと新潟の酪農家さんを応援できるって知ってた?

「今日はどこの牛乳を買おうかな」
スーパーで何気なく手に取る1本の牛乳

でも実は、それが新潟の酪農家さんの応援になるとしたら・・・
ちょっと選ぶ目が変わってきませんか?

地元の牛乳が売れると、地元の酪農家さんの生活が守られる
牛乳の原料となる「生乳」は、お母さん牛が作り、酪農家さんが毎日一生懸命しぼったもの
これが乳業メーカーを通じて製品化され、私たちのもとに届きます

北海道産牛乳は北海道産生乳100%
新潟県産牛乳は新潟県産生乳100%

当たり前のように見えますが、意識して購入している人は少ないのではないでしょうか


新潟で作られた牛乳を、新潟の人が買って飲む
それだけで、輸送コストも少なくて済み、環境への負荷も軽減

しかも、その売上が地域の酪農家さん、運送会社、乳業メーカー、スーパーなどに循環して、新潟の経済が元気になります

にいがたの牛乳、応援の気持ちでいただきます!


■「人にも、牛にもやさしい」酪農の未来
アニマルウェルフェアというと特別なことと思われがちですが、神田酪農さんの取り組みはシンプルでした

一頭一頭牛を観察
牛の気持ちになってより良い環境をつくる
日々の細やかなケアを欠かさない

こうしたひとつひとつの積み重ねが、牛たちの健やかな表情と、おいしい牛乳につながっていることを、見学を通して体感しました

見学を終えて改めて感じたのは、「アニマルウェルフェア」は牛のためだけではなく、人の暮らしにもつながっているということ

牛が健やかに育てば、牛乳の品質もよくなり、酪農家さんの仕事もやりがいのあるものになります
それは、わたしたち消費者の安心や健康にもつながっています

「にいがたの牛乳、おいしいね」
そんな声の裏には、こうして牛とまっすぐ向き合う酪農家さんの想いがあるんだと、しみじみ感じた1日でした

神田酪農公式サイトはこちら:http://www.kandarakunou.com/